「遺伝は運命ではない」という言葉があります。私たちは生まれ持った遺伝子を変えることはできません。しかし、遺伝子によってすべてが決められているわけではなく、毎日の食事や運動、睡眠などの生活習慣によって、健康状態は変えていくことができます。
実際に、遺伝的に心臓病や脳卒中のリスクが高い人であっても、バランスのとれた栄養、適度な運動、十分な睡眠などの「健康的なライフスタイル」を維持することで、その発症リスクを半減できたという研究結果があります。このことは、「遺伝だから仕方がない」とあきらめるのではなく、毎日の生活習慣によって健康を守ることができるという、大きな希望を与えてくれます。
その中でも、私たちが毎日選択できるのが「食事」です。そこで大切にしたいのが、「リアルフード(Real Food)」、つまり「本物の食べ物」を食べるという考え方です。
リアルフードとは、特別な健康食品や高価なサプリメントのことではありません。米、魚、肉、卵、大豆、野菜、果物、海藻、きのこなど、自然の恵みを生かし、できるだけ素材そのものの姿や味を感じられる食べ物です。
一方、近年注目されているのが「超加工食品(Ultra-Processed Foods)」です。超加工食品とは、食品本来の形から大きく離れ、さまざまな加工や調味を重ねて作られた食品を指します。菓子パン、スナック菓子、清涼飲料、加工肉など、私たちの身近にはたくさんの超加工食品があります。便利でおいしく、忙しい生活を支えてくれる一方で、それらに偏った食生活にならないよう注意することが大切です。
もちろん、加工食品をすべて避ける必要はありません。冷凍野菜、缶詰、レトルト食品なども、上手に利用すれば食生活を豊かにしてくれます。大切なのは、「何を食べてはいけないか」ではなく、「本物の食べ物を食卓にどれだけ増やせるか」という視点です。
例えば、主食でエネルギーをとり、魚や肉、卵、大豆製品などからたんぱく質を補い、野菜、海藻、きのこなどを副菜として組み合わせる。さらに果物も取り入れる。このように、さまざまな食品を組み合わせて食べることで、身体に必要な栄養素をバランスよく補うことができます。
そして、健康を支えるのは食事だけではありません。バランスのとれた栄養、適度な運動、質のよい睡眠。この三つを毎日の生活の中で大切にすることが、健康的なライフスタイルにつながります。
「遺伝は運命ではない」という考え方は、私たちに「自分の健康は、自分の日々の選択で変えていける」という力を与えてくれます。
健康づくりは、特別なことを一度だけ頑張るのではなく、毎日の小さな選択の積み重ねです。超加工食品を「食べてはいけないもの」と決めつけるのではなく、摂り過ぎを避け、その分、米、野菜、魚、豆、海藻などのリアルフードを食卓に増やしていく。
本物の食べ物を、いろいろな種類、バランスよく食べる。そして、適度に身体を動かし、しっかり眠る。
それが、自分らしく健康な人生をつくっていくための身近で確かな一歩なのではないでしょうか。