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失って気づく声の温度

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  人生で初めて、声を失った。

  原因自分論で言えば、健康管理が十分ではなかったのだろう。忙しさを言い訳にして風邪を我慢したり、睡眠不足が続いたり、「これくらい大丈夫だろう」と無理を重ねていた。

  しかし、まさか本当に声が出なくなるとは思わなかった。最初は少しかすれる程度だった。ところが翌朝になると、声は空気のように漏れるだけで、ほとんど言葉にならない。

   私にとって、声は商売道具の一つである。

   先日も客先を訪問したが、思うように会話ができなかった。伝えたいことはたくさんあるのに、出てくるのはかすれた息のような音だけ。結局、私はいつも以上に笑顔を作るしかなかった。

  清緑園でも同じ。

   いつもなら店内に入って常連客を見ると、少し会話を交わすが、今は常連客を見ても笑顔を見せるだけで、すぐ事務所に入る。お客様との会話をとても大切にしているのだが、今も自分には難しい。

   そして何より困ったのは、毎日続けている母とのビデオ通話だった。

   中国にいる母とは、どんなに忙しくても5分程度顔を見て話すようにしている。しかし今回は声が出ない。母に知られれば心配をかけてしまうと思い、「今日もちょっと忙しい」とメッセージを送り、三日間も顔合わせていない。

   人は意外なほど「声」で人とつながっている。普段は当たり前すぎて意識しない。しかし、人との関係には温度があり、その温度を伝えているのが声なのだと思う。

  そう考えると、これまでの人生には「失って初めて気づくもの」が多い。

  健康もそう。

  家族もそう。

  友人もそう。

  毎日当たり前のようにそこにある時は、そのありがたさを忘れてしまう。しかし、それが少し欠けただけで、自分がどれほど多くのものに支えられていたかが見えてくる。

  今日朝早く病院に行って検査してもらい、薬をたくさんもらった。一日も早く、いつもの声を取り戻したい。

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