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あの夏のスイカ

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   夏の果物の中で、私はスイカが一番好きです。

   先日、友人が店に訪ねてきて、丸々とした見事なスイカを持ってきました。夜、仕事が終わった後、冷蔵庫からスイカを取り出し、店のシェフが見事な包丁さばきで切り分けました。みんなでスイカを囲みながら、昔話で盛り上がりました。スイカの香りが部屋中に広がり、真っ赤な果肉が無限の涼しさと甘さを届けてくれました。

    日本のスーパーで売られているスイカと比べると、中国のスイカの売り方はもっとワイルドでした。三輪車や小さなトラックの後ろにスイカを満載し、売り手が大声で呼び込みます。日本では1/8や1/4に切って売りますが、中国は丸ごと売るやり方でした。

    子供の頃、夏休みはよく祖母の家で過ごしました。祖母はマクワウリが好物で、私はスイカが好きでした。祖母は青物市場で必ずこの二つを買ってきました。水道には冷たい山水が流れ込んでいたので、ボウルにスイカを丸ごと浸して冷やしました。祖母はマクワウリを切り、種を取り除いて半分を私に渡し、もう半分を素早く食べてから台所で料理をしていました。この半分のマクワウリが前菜のデザートのようなものでした。

   食事の後、夜の帳が降りると、燕やコウモリが空中で餌を探し始め、山水に浸ったスイカも完全に冷たくなりました。祖母はスイカを半分に切り、その半分にスプーンを刺して食べました。私たちはベランダに座り、祖母は乾燥したオオヨモギを燃やして蚊を追い払い、私はスイカを抱えてスプーンで掬って食べながら時折種を遠くへ飛ばして遊びました。オオヨモギの香りを嗅ぎ、甘くて爽やかなスイカを食べ、祖母が団扇で送る風を感じ、その時間が最も心地よい夏のひとときでした。

   父は仕事帰りによく青物市場に寄ってスイカを買ってきました。当時、家には冷蔵庫があり、父は大きなスイカを買ってきて冷蔵庫で冷やしました。夕食後、家族三人でテレビの前に座り、スイカを食べながらおしゃべりするのが定番でした。ときたま友達が私の家のビデオを見に来ることがあり、その時は買ったばかりのスイカを冷やす間もなく、すぐに食べ尽くしてしまいました。

   夕食後の散歩で市場にスイカを買いにいった時のことを今でも思い出すことがあります。買ったばかりのスイカを抱えきれず、私は数歩歩いただけで地面に落としてしまいました。スイカが数片に割れてしまい、真っ赤な果肉に汁が路上に溢れ出ました。売り手はその様子を見てすぐにお客さんたちに「見てください!うちのスイカはいいですよ!」と言って、私の失敗を商売のネタにしていました。父は笑いながら「スイカを切らずに済んだよ」と言いながら私たちは食べましたが、このときのスイカは格別美味しく感じたものです。

   夏は毎年巡り来ては過ぎ去っていきます。スイカを見るとあのころの光景をにわかに思い出し、限りなく懐かしく思うことがあります。

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