もし「素人の方では飲食店の開業は無理なのか?」と聞かれたら、私は「ノー」と答えます。素人の私でも飲食店を開業できたので、やろうと思えばできると思います。ただ、飲食店を開業することと、飲食店経営を持続的に続けていくことまったく別の話です。ここに注意しないと、開業の喜びとやる気はすぐに消えてしまいます。
今回、清緑園の開業における失敗経験から得た2つの気づきについてお話します。
実は巣鴨地蔵通り商店街で清緑園を開業する前に、新橋の赤レンガ通りで担々麺の専門店を開業しました。
ただし、わずか4ヶ月間で閉店に追い込まれました。
なぜ担々麺の専門店なのか?なぜ新橋の赤レンガ通りで出店したのか?などの経緯を説明すると100ページくらいのレポートになってしまいますので割愛しますが、ここでは、なぜ「この店がわずか4ヶ月で閉店したのか?」についてお話しします。
〜当時の店舗営業様子〜
失敗した原因は2点です。
一つ目は、家賃が高く、高い固定費に収支が逼迫されたこと、もう一つは、経営者が料理のレシピ(営業秘密)を持っておらず、シェフに依存したこと。
新橋の赤レンガ通りに行かれた方はわかるかと思いますが、サラリーマンが多く、飲食店も沢山あります。一等地のせいなのか、わずか12席のこの店の家賃はとても高かったのです。飲食店の場合、売上に対する家賃の比率は10%前後と言われていますが、ここの家賃比率は30%にもなっていました。月の半分以上はこの家賃のために頑張っていると言っても過言でもないかと思います。
清緑園のもう一つの失敗要因は「レシピを把握してなかったこと」です。最近、本屋に行けば、レシピに関する本が沢山あります。またインターネットやYoutubeを見れば、レシピ大公開と言って料理の詳細を学べる内容が沢山見つかります。最近Tiktokが流行っていますが、これらのショート動画アプリを使えば簡単に料理を学べますね。
しかし、飲食店にとって、特に個人経営や小規模の飲食店にとってレシピは命です。いわゆる、営業秘密であり、簡単にインターネットやYoutubeなど媒体を通じて外部に公開することができないものです。他店と差別化するために、このレシピが極めて重要なのです。
当時、主力商品である麺類のスープレシピは全てシェフに握られていました。どうやったらこの味を再現できるのか?を経営者として把握しておくべきでしたが、教えてももらえませんでした。シェフのノウハウですから。経営者に教えてしまったら自分が必要とされなくなる可能性がありますので、教えてもらえないのも当然ですね。シェフを雇えば、飲食店をやっていけるという考え方がどれだけ甘かったのか、その時はじめて知りました。
〜当時のメニュー〜
これらの経験を踏まえ、再出発する際には、店舗の立地は「一等地の三等地」を選び、料理人からレシピを買うところまで必ず経営者が握ることを徹底しました。
失敗は誰にとっても辛いものです。しかし、いま清緑園でお客様に安定的に美味しい料理を楽しんでいただけているのは、この学びを活かせたことに尽きるので、失敗は必ずしも悪いものではないですね。
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