先日、仕事の帰り道で、一組の老夫婦を見かけました。二人とも、歳を重ねて身体の衰えが隠せず、お尻のゴワゴワ感を見ると、オムツを履いているように見えました。しかし、二人は手をしっかりと繋ぎ、言葉を交わすこともなく、ゆっくりと歩いていました。二人の背中からは、長年にわたって積み重ねた深い絆と思いやる情が伝わってきて、私の心に深く残りました。
人間は皆、歳を取ります。そして歳を重ねるにつれ、求める愛情の形も変わっていきます。若いころは情熱的で、瞬時に心を燃やすような愛情を求めるものです。それによって笑ったり、泣いたり、悩んだり、苦しんだり・・・・・・。その時どきにしか体験できない、強く鮮烈な愛情の形が残ります。
しかし、人生の終盤に近づくと、求める愛の形は、きっとこの老夫婦のように、静かで、深く、穏やかなものになるのでしょう。手を繋いでゆっくりと歩む、その時間そのものが大切になっていくのだと感じました。
人間は皆、何度も恋に落ちます。恋には始まりがあり、終わりもあります。その経験から、私たちは感情が豊かになり、人への思いやりや、現実と向き合う勇気が育まれます。若い時には、恋愛の情熱とその時どきの出来事が人生を彩りますが、歳を取り体力が衰えるにしたがって支え合う愛が生まれてきます。
老いとともに、誰でも自分の弱さが出てきます。その弱さを受け入れ、助け合うことが、愛の強さの証になってきます。老夫婦の後ろ姿からは、互いに身体の衰えを受け入れ、支え合い、手を差し伸べ、互いに安心している確かな絆を感じました。将来、私自身も年を重ね、同じようにオムツを穿く日が来るかもしれません。その時は伴侶と手を繋ぎ一緒に歩けるなら、それこそが最も幸せな愛の形なのだと思いました。
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