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手紙

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   来週、娘が15歳の誕生日を迎える。私は出張でいないので、直接お祝いすることができない。娘への誕生日プレゼントとして、出張先から手紙を出した。普段口には出せない話を書いたが、これは「前世の恋人」への初ラブレターとなるのだろうか。

 手紙は不思議な力を持っている。今はメール、LINE、Wechatなどがあり、メッセージは簡単に相手に届く。便利でありがたいけど、どこか心の奥に物足りなさを感じる。手紙が持つ不思議な力を懐かしく思うことがある。

 娘と同じ年頃、私は初めて両親連名の手紙をもらった。異性に興味を持ち始めたころであり、それに気づいた両親が私の学業を心配して手紙を書いたのだろう。日本に留学してから二度目の両親連名の手紙をもらった。異国で留学生活を送る息子への心配し、文字を通じてエールを送ってくれた。今も、この手紙を大切に保管し、写真に撮り時には読み直している。亡くなった父の字や言葉を見ると、心に突き刺さるような気持ちになる。

 来日して一年ぐらい、高校や大学の友人やクラスメイトと手紙のやり取りをした。国際電話カードも使っていたが、手紙の何倍も高いので必然的に手紙が多くなった。先日、部屋を整理したとき、手紙の束が出てきたので夢中になって読んだ。私がいなくなった寂しさや大学生活の楽しさ、2003年SARSの大変さなどを読みながら、当時のありさまが目の前に浮かび上がった。中にはクラスメイトからの「告白」の手紙もあった。しかしこの内容にはまったく記憶がない。手紙を写メ撮りして彼女に送った。すると、彼女も「まったく覚えていない」と言う。愛情や感情も時間が経てば消えていくものであることを初めて知った。ただ手紙の文字を見ていると、当時の感情がそのまま残っているように感じた。

 最近もらった手紙の中で印象に残っているのは、コロナの期間中に友人からもらった手紙だった。特許事務所を経営している彼女は私のことを心配し、苦しい時期に考えるべきこと、やるべきことを整理して手紙で送ってきた。それは本当に助かった。今も自分の引き出しのすぐ手が届くところに置いてあり、悩んだときに読むようにしている。

 手紙の力を大切にするようになり、私はできるだけ手紙を書くようにしている。手紙には不思議な力が宿り、決して消えることがない。

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