前回の配信では、「未経験の方でも飲食店を開業することは可能なものの、いくつか落とし穴に注意しなければならない」という話をさせていただきました。今回は、その続きとして、未経験の方が飲食店を開業後、やるべき5つのことについてお話します。すべて元・未経験者の私が実践したことですので、有料級の価値があると思いますよ、笑。
まず、未経験者の定義について説明しますと「家族以外の人に食べさせられるような料理を作れない、接客もしたことがない、人を雇って仕事をしたことはない、飲食店経営とはなんぞやを知らない」です。まさに清緑園をはじめる前の私のような人を想定しています。
当時の私は、どこから湧いてくる自信なのかも分からず、飲食業に身を投じました。最初頃の体の変化や心境は今でもはっきり覚えています。数週間の間、空腹感はまったくなく、1日何も食べなくてもお腹が空かない、しかも睡眠時間が短くても昼間は眠くない、超人になったかと思うぐらい体が“強く”なりました。体が“強く”なったけど、心はやはり嘘をつかない。常に不安や焦りに包まれ、しかも精細なことに敏感になりました。
飲食店の不思議なところがあります。これも後に常連客に聞いた話ですが、店のオーナーが変わったら、その店の雰囲気も一瞬で変わったとのことです。店のオーナーの変更は公表していなかったものの、やはり雰囲気が変わったことでお客様と最初から信頼関係を作らないといけません。
飲食店を経営したことはない不安感や焦りを解消するために、Amazonで飲食店経営に関する本をたくさん買って読みました。しかし、どの本も立派な内容が書いてありましたが、当時の私にとってこれだというような内容はありませんでした。そんなある日、大学院時代の恩師である馬場錬成先生からLINEが届きました。メッセージを見ましたら、一枚の写真がありました。
読んだ飲食店経営に関する本の一部
馬場先生から送られてきた一枚の写真「店が支持される5つの条件」
この写真を見た瞬間、「これだ〜!」と心の中で叫び、鳥肌が立ちました。今もスマホにこの写真を大切に保存して時に見ています。
当時の私は、まずお客様と信頼関係を作る必要があると感じました。そのためにまず店を支持してもらう必要があると考えていました。しかし、支持してもらうために、何をすべきかについて悩みました。その時に、この五つの条件が私を暗い闇から救い出しました。キーワードのみでしたが、このキーワードを見ながら、自分のやるべきこと列挙して実践したのです。
店が支持される5つの条件及び実践の例(一部)
条件① おいしいこと
おいしいことは飲食店にとって絶対条件です。この「おいしい」を実現するために、おいしさを安定的に提供できるレシピの確保が必要でした。当時横浜中華街のシェフが作った料理を実際食べて、美味しいと思った料理のレシピを入手しました。
条件② 価格が安いこと
稲盛和夫さんもおっしゃっておりましたが「値決めは経営」です。価格設定には相当悩みました。清緑園が観光地の巣鴨地蔵通り商店街にあるものの、私は店のターゲットを地元の人と決めました。毎日来られるように定食は全て800円前後の値段を設定し、単品料理も1000円を超えるものを少なくしました。
条件③ 鮮度が良いこと
鮮度を高く保つためメニュー数を絞ることを考えました。すると、どの材料も使用頻度が高いため、毎日の在庫がほとんど残らない。こうして毎日提携業者から新鮮な野菜や肉を仕入れるようになりました。
条件④ 従業員の感じが良いこと
こちらはメンタルの問題ですので私にとっては簡単でした。お客様が自分のお家に遊びに来たと思えば、自然にこちらも笑顔になり、細かい対応できるようになりました。
条件⑤ 快適な店であること
快適な店を実現するために、やるべき唯一のことは、掃除です!重要なことですので、三回言います!掃除!掃除!掃除!
この5つの条件は難しい飲食店経営を簡単にしました。中国語では“复杂的事情简单做,简单的事情重复做,重复的事情用心做!”という言い方があります。複雑なことを簡単に。簡単なことを繰り返してやる。繰り返しやることに心を込めてやること。これを継続してやっていけば、道は必ず開きますよ!
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