「无父何怙?无母何恃?」(ウーフーフゥーフー?ウームーフゥーシー?)
これは紀元前11世紀〜6世紀中国の詩歌集『詩経』に収録されている言葉です。「父や母がいなければ、私は誰に頼ればいいのですか?」という意味です。この言葉から両親への思いは、何千年も前から変わっていないことが分かります。
今日は父の日です。「无父何怙」を思い、父のことについて少し語りたいと思います。
さる6月15日は、父の一年忌でした。この一年間、事務所で一人になるとWeChatに残っていた父の肉声を聞いたり、時にはスマホに保存している父の動画を見たり、父のことを考える時がよくありました。
抗がん剤治療後、父は私にあまり姿を見せたがらなくなりました。父が自分の姿を私に見せたがらない理由をなんとなくわかっていました。息子には、あの強い、かっこいい姿のままで終わりたい。コロナ禍で、中国に帰られず、父の最期を見届けることができませんでしたが、私の頭に刻まれた父の姿は、昔のまま、あのかっこいい姿でした。
幼い頃、私が悪いことをしたらお尻を叩かれ、壁に向かって立って反省させられました。父はとても短気でしたが、私が小学生の高学年になったころから、父は急に優しくなりました。それからは友達のように接してくれました。そして、重要な決断の時にいつも後押ししてくれる役割を果たしていました。いつも父が言っていたのは「君が後悔しないように」の一言でした。この一言を聞くと、大体進むべき道がわかります。それは「やらないと絶対後悔するという道」を選ぶことでした。
私が中国の大学を中退して日本に自費留学をしたいと希望したとき、私の決意を後押ししてくれました。日本に出発する直前、父は私に「日本へ行ったら開封しなさい」と言って封筒を私に持たせました。日本に来てから開けてみると、日本円で50万円の大金が入っていました。
貧乏学生だった私は、バイトをしながら、どうしても足らないときは父からのお金に助けられて、日本の大学院まで修了することができました。
私も父になって13年目に入ります。父に習って、できるだけかっこいい優しい父の姿を娘に見せたいと思って来ました。娘から何か相談が来た時に、私も娘に「君が後悔しないように」とアドバイスをするようにしています。やはり知らず知らず私は父に影響されていました。
今日は父の日、「无父何怙」を思い、みなさんのお父さんに「いつもありがとう」の一言を贈ってください。
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