おじさんになった幸福

   先日、以前ホテルを運営していた時の従業員が、台湾で生まれた赤ちゃんを抱えて会いにきてくれました。私は生まれてまだ半年の赤ちゃんを抱かせてもらい、「おじさん」になった幸福感を味わいました。そしてこの従業員が日本で幸せを掴み、母親になったことが何より嬉しく思いました。

    右側が元従業員、左側がご主人

   思い返せば2022年2月、コロナ禍でホテルの事業が危機に直面しました。他の従業員が次々と離れていき、今後どうなるかもわからない中で彼女は残ってくれました。2022年3月からホテルの仕事は完全なくなり、なんとか彼女の仕事を探そうと、清掃会社に雇用をお願いしたり、産業雇用安定センターに行って出向先を探したり、雇用調整助成金を申請したり、様々な方法を試みました。そんな苦労を重ねながらも2023年1月に完全にホテル事業を撤退するまでなんとか食いつなぎ、一緒に苦難を乗り越えることができました。

   その彼女に幸運が舞い込みました。当時ホテル経営を助けてくれたOYOの担当者が、他のホテルに紹介してくれたのです。そして彼女は、コンビニのオーナーと出会う恋にも恵まれ結婚に至りました。

   中国には「吉人自有天相」という諺があります。これは「善い人は天から助けてもらえる」という意味です。彼女の数年間の歩みを見ていると、この諺が本当であることを強く実感しました。天使のようにかわいい赤ちゃんを見ながら、あの困難な時期を共に歩んでくれたことを思い出し、改めて彼女に対し感謝の気持ちが心の底からわいてきました。

   どんなに厳しい状況にあっても、善意と努力を忘れずにいれば、必ず道は開けることを私は信じています。これからもこれを心に刻み前に進んで参りたいと思います。