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つながりながら勉強する時代

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   この頃、定期試験期間中の娘が毎晩のように深夜まで机に向かっている。「普段からちゃんと勉強しておけばいいのに」と内心では思いながらも、決して口には出さない。年頃の娘との会話は、「何を食べたい?」「遊びのお金は足りている?」「好きな男の子はいる?」の三つくらいに限定している。いまの娘と私の平和の秘訣だ。

  中国には「临阵磨枪,不快也光」という諺がある。直訳すれば「戦場に出る直前に刀を研いでも鋭くはならないが、少しは光る」。つまり、直前の準備でも、何もしないよりはまし。私自身、この諺に何度も助けられた。娘の姿に、かつての自分を少し重ねてしまう。

   ある晩、娘が勉強している様子をこっそり覗いてみた。スマホが目の前に置いてあったのを発見。「勉強するなら、スマホを見ない」と言おうと思ったが、どうやら数人の友人とLINEのグループでビデオ通話をつなぎっぱなしにして、一緒に勉強している。皆ミュートで、会話もほとんどない。ただ「寝る時間」だけを決めて、その時間になったら一斉にノートを閉じ、同時に寝る。

   その光景に、思わず感心してしまった。

   自分が学生の頃、勉強とは、もっと孤独なものだった。静かな部屋で、自分との闘いを続ける。だが今の子どもたちは、デジタルを通して“つながりながら”孤独を乗り越える方法を見つけている。画面の向こうに友だちがいるだけで安心できるし、同じ時間に頑張っている仲間がいると思うだけで、集中力が続く。一番の効果が、言葉を交わさなくても、「あなたも頑張っている、私も頑張る」という無言の連帯感があると思う。

   これはもう、私が知っていた「勉強」ではない。スマホで実現した“つながる時代”の新しい勉強スタイルだ。

   そしてふと思った。スティーブ・ジョブズは、スマホがこんなふうに人をつなぎ、孤独をやわらげる道具になることを想像していただろうか。食の世界でも同じだ。巣鴨餃子は、ただ餃子を売る店ではなく、つながりを提供する存在でありたい。

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