栄養顧問のためになる話

栄養顧問のためになる話

11

好き嫌いなく食べるとリスク回避

 今回は、好き嫌いを乗り越えて食べることの重要性について考えてみたいと思います。長年にわたって「好き嫌いをせずに食べなさい」と言われ続けてきましたが、やはり苦手な食べ物があると感じる方は多いのではないでしょうか。好き嫌いをなくして食べることは、四季を通じて様々な食品をバランス良く食べることが重要であると、多くの方が気づいていることでしょう。

 この「好き嫌いをなくして食べる」ことの視点を少し変えてみると、それは「食べ物の持つリスク回避である」であるとも言えるようです。

 そもそも、全ての食べ物が人間のためだけに存在しているわけではありません。全ての食べ物は生き物であり、種を残すために命をつないでいます。人間のためにビタミンやたんぱく質を豊富にするといったことを考えているわけではありません。食べ物には良い面と悪い面があります。例えば、多くの人が積極的に摂取したいと思っている食物繊維は、腸をきれいにしてくれますが、栄養素の吸収を阻害する一面もあります。様々な種類の食べ物を食べることで、人間にとって悪い面を薄めることができるのです。これこそがリスク回避に繋がると言えるでしょう。

 人間は霊長類の中で最も雑食に分類されます。雑食性がもたらした結果、私たちはAI級の脳と高機能な臓器を持つことができました。これは先人たちが様々な食べ物を命がけで食べてきたおかげです。もし私たちが犬だったら、ドッグフードだけで健康を保てるかもしれません。しかし、人間にはそれだけでは足りません。多くの食べ物に触れることで学習し、成長することができます。

 人間はまだ進化の途中です。これからも進化を続け、次世代にこの肉体を繋げる生物として生きていくでしょう。少なくとも、先人たちが命をかけて「これは食べても大丈夫」と伝えてくれた食材くらいは、好き嫌いせずに食べることが得策だと考えています。

LATEST NEWS

新着のお知らせ

PAGE TOP