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朗読の力に触れた日

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   先日、弊社冷凍水餃子のライブコマースを手伝ってくださっているMomo KITOさんが、友人を連れて清緑園にきてくださった。その友人は、ベテラン俳優の赤星昇一郎さん。

 赤星さんの自己紹介が独特だった。名刺代わりに夏目漱石氏の短編集『夢十夜』第四夜を朗読してくださったのだ。
 広い土間に腰を下ろす爺さん、禅問答のようなやり取り、そして「今になる、蛇になる、きっとなる、笛が鳴る」と唄いながら川へ消えていく、不思議な夢の断片。

   初めて耳にする物語だったが、すべてを理解できたわけではなかった。
   けれども、
 「家は何処か?―臍の奥だよ」、
 「どこへいくかね?―あっちへ行くよ」
  このやり取りを聞いたとき、この物語は生死に関わる内容と感じた。

 すぐそばで聴いた赤星さんの声は、これまでにない衝撃を与えてくれた。言葉がまるで生き物のようで、鳥肌が立ち、目が潤む。
 それはまるで、赤星さん自身が歩んできた人生を、私に語りかけているかのようだった。

   そして最後に、「今になる、蛇になる」と唄い、爺さんになりきって物語を締めくくられたとき、私は思った。この短編小説は、赤星さんという存在そのものを映しているのではないか、と。
 朗読には、人の心を震わせる力がある。そう実感したあの日、私にとって忘れがたい感動となった。
  小さな餃子が結んでくれたご縁に、心から幸せを感じている。

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