北京にいる友人は桜が好きで、私が来日してから毎年、桜の写真を送っている。最初は手紙にフィルム写真を同封して送っていたが、スマホの時代になってからは、携帯で撮った写真をそのままWeChat(日本のLINE)で送っている。ときには、桜の風景を動画で送ることもある。23年も続いている。
巣鴨には染井霊園があり、桜の代表的な品種「ソメイヨシノ」の発祥地と言われている。清緑園が巣鴨で誕生して以来、私は毎年この霊園の桜を見に行くことにしている。外国人墓地のあたりの桜は、とりわけ美しく咲き誇る。ここ10年ほど、毎年その桜の写真を友人に送っている。
先週の火曜日の4月1日。朝から冷たい雨が降り続いていた。この日は夜の営業をやめてスタッフが集まり、小さな十周年記念の宴を開いた。前夜に夜更かしして作ったこれまでの10年間を記録した清緑園の数々、そして清緑園が主催したいくつかの事業の写真をビデオにまとめ、それを見ながら、「あの時」「あの人」「あの出来事」をみんなで思い出して談笑した。
そして、十年勤続賞をシェフの一人に贈った。このシェフは清緑園が開店して以来、10年間ずっと働いてきた。来日して18年、そのうちの半分以上の時間を清緑園で過ごしてくれた。感謝しかない。
ホールスタッフから聞いた話だが、このシェフは当初、サラリーマンを辞めて飲食業をやったことのない私と一緒に働いて大丈夫かと心配になり、占い師に占ってもらったらしい。占いの結果を教えてはくれなかったけれど、10年間ずっと一緒に働いてくれたことを思うと、その占い師の言葉は、間違いなく正しかったのだと思う。
この10年、順風満帆な時期もあったが、波瀾万丈の時間の方が圧倒的に長かった。これからの事業計画をスタッフに説明するとき、改めてそう思った。そして「これからの10年をどうするか?」という問いに、私は自分の考えをみんなに伝えた。
これからもスタッフやその家族を守りながら、少しずつ、しかし着実に発展していきたいと思っている。そして、より多くのお客様の笑顔に出会えるように、これからの10年間も走り続けていく。
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