先日、衝撃的なニュースを見ました。若者の孤独死がここ三年間に東京23区で742人も確認されました。「若者」と「孤独死」、なかなか結びつかない二つの言葉ですが、なぜこのような事態が起きているのでしょうか?
以前、ホテルを運営していた時のことを思い出しました。今でも鮮明に覚えていますが、あの事件はコロナの影響でホテル事業をやめ、ビルオーナーにビルを引き渡す10日前のことでした。2020年12月30日の夕方、警察から電話がかかってきました。ホテルに宿泊する客と三日間も連絡が取れないと、その友人から通報があり、至急状況を確認したいとのことでした。急いでホテルに行くとすでに三人の警察官が待機していました。部屋の鍵は中からロックされていました。年配の警察官が紐と割り箸で内側のロックを解錠し、いよいよ入室すると、年配の警察官が若い警察官に対応を指示し始めました。そして、私に「心の準備をしておくように」と言いました。この言葉の意味を理解しつつ、何事もないよう祈るしかありませんでした。
若い警察官が入室し、ベッドに横たわる人を見つけると、大声で「息があります!生きています!」と叫びました。その時、私は全身の力が抜け、放心状態になりました。
その後わかったのは、このお客様は20代後半の男性で、三日間もベッドに寝込んだまま食事も取らず、電話にも出ない。セルフネグレクト(self neglect、自己放置)の状態に陥っていたということでした。
セルフネグレクトは、自分自身の基本的なニーズを満たすための行動を怠る状態を指します。自身の健康、安全、清潔さ、生活のための基本的な管理を行わない場合に見られます。その原因は様々で、精神的な健康問題、身体的な健康問題、社会的な孤立、経済的な困難などが含まれます。
冒頭のニュースを見た時に、このときのことを思い出し、とても悲しくなりました。3年で742人は、毎年250人近い孤独死が発生していることになります。この数字の裏には、それ以上に悲しんでいる人々が日々いるはずです。生きることの辛さもありますが、この世に来てたくさんのことも体験できます。何事も楽しんでやればいいのにと思いますが、そう簡単にいかないことも分かっています。ならば、この若者たちに何ができるか、考える一つのきっかけとなりました。
ニュースリンク:
https://www.sankei.com/article/20240721-MZBGQN5G3JMTDJ3BVTQCZ5NHAY/
コメント