古典落語「目黒の秋刀魚」を思い出したくなるのが10月です。「目黒の秋刀魚」では、殿様が目黒で食べた秋刀魚のおいしさに感動し、「やはり秋刀魚は目黒に限る」という古典落語の演目です。庶民の味を殿様が気に入り、世間知らずな殿様の姿と身分制度の不条理を風刺する物語で毎年10月に目黒区でこの落語にちなんだ「目黒の秋刀魚まつり」が開催されます。
そして今年は秋刀魚が豊漁です。昨年の2倍を超える水揚げ量で例年より大ぶりで脂ののりもいいようです。
水産庁の発表によると日本人1人あたりの魚介類の年間消費は2001年度の40.2キロをピークに減少を続けており、2021年度には23.2キロまで落ち込んでいます。これは、肉類の消費量の増加と比べると顕著な現象であり、魚食文化の衰退が指摘されています。では、なぜこのように魚食離れが進んだのでしょうか。魚離れの背景には「調理が面倒」「食べるのに手間がかかる」「値段が高い」「後片付けが面倒」「ごみ処理が大変」など様々な理由があるようです。
ここで魚の調理等できないと思っている方に朗報です。秋刀魚は1尾買ってきたら下処理をすることなくそのまま、まるごと焼けばいいだけの簡単クッキングです。
これまで切り身しか買ったことがない方、今年の秋は一尾の秋刀魚を買ってみてはいかがですか。焼いた秋刀魚に大根おろし、カボスを添えてみてください。立派な日本の伝統食が簡単に完成しますよ。
秋刀魚には私たちの身体にとって大切な栄養源が豊富に含まれています。例えばよく知られているのが魚の油に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)という栄養素があります。EPAには血栓予防、高血圧予防、抗炎症作用などがあるといわれています。一方DHAには、動脈硬化予防や脳の発達促進、認知症予防等の効果が知られています。EPAもDHAも私たちが生きていく上で欠かせない必須脂肪酸ですが、体内でつくることはできません。そのため食事などから摂取する必要があるのです。まさにサプリ級に栄養豊富な秋刀魚。」2025年秋は秋刀魚の栄養も文化もおいしさも堪能しましょう。