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支え合いのかたち

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   2018年の夏、私は清緑園の近くで一匹の子猫を保護した。小さな身体で必死に鳴いていたその子は、いまや我が家の“癒し担当”となり、「福ちゃん」と呼ばれる大切な家族。

   つい先日、その福ちゃんとの間で心に残る出来事があった。

    水曜日、厨房の排気工事のため店を臨時休業にした。工事が終わったあと、せっかくだからと掃除を始めたのだが、やりだすと止まらなくなり、気づけば深夜二時。疲れ果てて帰宅し、玄関のドアを開けた瞬間、そこに福ちゃんが座って待っていた。こんな時間はいつもなら眠っているはずなのに、私の足音に気づいたのかな。

    リビングに入ると、福ちゃんは尻尾をぴんと立て、甘えた声で鳴きながらついてきた。私がテーブルに腰を下ろすと、すぐに目の前に座り、じっとこちらを見つめてゆっくりと瞬きをしてくれた。その仕草に「おかえり、そしてお疲れ様」と言われているようで、1日の疲れが吹き飛んだ。

    シャワーを浴びてベッドに入ると、今度は顔の近くまで来て、のどを鳴らしながら寄り添ってくれた。頭を撫でながら「ありがとう」と心の中でつぶやいたところで、気づいたら眠りに落ちていた。

    待っていてくれる存在がいる。言葉はなくても、仕草やまなざしだけで心が通じ合える。そんな小さな奇跡が、疲れた一日の最後に訪れることのありがたさを感じた。

    福ちゃんは小さく、弱い生命で、私は「守ってあげる存在」だと思っていた。実はこの弱いと思っていた存在が、時には私を支えてくれる存在でもある。この世界は、支えることと支えられることの積み重ねで成り立っている。それが、人間同士であれ、人間と動物であれ。

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